The long waiting

If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.

『心理学の名著30』,01ジェームズ『心理学について』(一八九九)―近代心理学の土台となる思想

 ちょっとづつ進めていきたい。今日からは第一章認知・行動領域ー「ヒト」としての心理学を頭からメモしていく。もうちょっとコンパクトに手早くまとめられるといいな。

  

 

1.学説史上の位置づけ

①自然科学としての心理学

 ジェームズは心理学を「意識についての学問である」とする、当時における最新の定義に賛同を表し、かつ、意識を自然科学的な側面から扱うとしている。それ以前の心理学が心を魂のような本質として考えていたのに対し、近代心理学では魂ではなく心という概念を用い、その「機能」がどのようなものであるかを捉えようとしたのである。p.16「意識は不断に流れている」

 それ以前の心理学っていうのがどういうものを考えてるんだろう。フロイトなのかなって思ったけど、フロイトは『名著30』のなかに含まれていて一九一七年が原著出版の年みたい。謎だ。

 

 

②ヴントとジェームズー心理学の父

 心理学史という領域において、年号を暗記して何かを考えなければいけないことはほとんどないが、一八七九年という都市は重要な年であるから覚えておいて損はない。この年はドイツの心理学者ウィルヘルム・ヴントがライプツィヒ大学に心理学実験室を設立した年、ということになる。(中略)しかし、その後、彼の心理学に関する著作はあまり顧みられていない。一方、思想としての心理学に関して現代でも読み継がれているのが、ジェームズの著作である。pp.20-21「人間への飽くなき興味」

 ここを読んだ時、けっこう最近の学問なんだなって思った。学部生の時勉強していた分野はもっと前の時代にまで遡っていた。その理論史では人の感情?みたいなものを論じている人を扱ってたけど、心理学ではその人達の議論はあんまり参照されないらしい。もっとも、この章ではロック*1の名前もふれられてはいる。

 

2.ジェ―ムズにとっての心理学とは

①構造ではなく意識の流れ

 ジェームズは心理学が対象とする事実は、意識が常に流れているということだ、と指摘する。意識がどのような構造を持っているかなどを問うことは意味がなく、どのような機能を持っているのか、を考えるべきだとするのが第三章「行動する有機体としての児童」である。p.19「『心理学原理』の余波」

 小見出し『心理学』原理の余波の残部分の要約

 一章は「心理学と教える技術」、二章が「意識の流れ」、三章でこのように言及しつつ、行動を重視し行動を形成することが教育の重要な目標となると訴えながら八章「習慣の法則」へと進む。最終章は「心理学と哲学」で自由意志の問題を扱うが因果律を前提とする因果律的世界観と自由意志は両立しにくく、ジェームズ本人によれば本書で目指された自然科学的心理学の確立は失敗したという。 

 

3.重要な概念

①主格と目的格の私 

 社会心理学の基礎概念であり、かつ、心理学においても重要な概念に自己(self)がある。ジェームズは『心理学原理』(一八九〇)において自己を「I」と「me」にわけるモデルを提案した。「I」は主格の私であり、「me」は目的格の私である。こうした考えは社会学にも影響を与えミードの社会的自我の理論へとつながっていったのである。p.17

 これは聞いたことがある!でも全然覚えてない笑

 大学の講義で始めて聞いた時は結構感銘を受けた記憶がある。

②哲学者の二分法

 また彼は哲学者の二分法ということも述べている。哲学における二つの大きな考え方である合理論と経験論のいずれかをとるかは、哲学者の気質によるという大胆な仮説である。軟らかい心、と、硬い心、というのがジェームズの唱えた二分法である。

  学者の言説の性質を当の本人の気質から説明するということか。紹介では一九二〇年代の性格類型論に影響与えたという。

 

 

 今ちょっとずつメモってるのがこの本。最初は結構丁寧にやってきたい。

 

 『名著30』のとは邦題がちょっと違ってる。原著は"Talks to Teachers on Psychology:and to Students on Some of Lif's ideals"だからこっちのほうが現代に近いね。