The long waiting

If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.

『心理学の名著30』,13ヴィゴーツキー『教育心理学講義』(一九二六)―心理学が教育にできること

ヴィゴーツキー(一八九六ー一九三四)旧ソ連の心理学者。『教育心理学講義』は「教育課程の科学理解」に基づいて教師を援助するための一冊。p.116

 

 昔、『思考と行動における言語』を古本屋で見つけて読んだことを思い出した。きごうってどういうことだろう?という疑問。読み進めていくうちに、あの時代のソ連でこんなことを考えていた人がいたなんて!という驚きと強化矛盾として説明される「教師や親が、勉強している子にご褒美を上げると、ご褒美なしには勉強しなくなってしまう、という現象」p.120にヴィゴーツキーが気がついていたという指摘にはあるある!という気持ちになった。

 

1.心理学史上の位置づけ

ピアジェとの違い

 ヴィゴーツキーとピアジェは奇しくも同じ年に生まれた。ピアジェが、どちらかというと生物主義的な見方をとったのに対し、ヴィゴーツキーは社会的観点をとり、他者との相互作用の重要性を強調した。二人の考え方の違いは言語発達についてピアジェが内元から外言へと発達すると考えたのに対し、ヴィゴーツキーは外言から内言へと発達すると考えたことに有る。p.120「発達心理学シャピアジェ

 内言は思考?で外言は音声を用いた他者とのコミュニケーションのことだ。だから、頭で考えてから話す(せるようになる)ということではなく、話しながら考える(かんがえられるようになる)というほうがイメージに近いだろう。

 2.重要な概念

①記号の心理学

 中村和夫『ヴィゴーツキー理論の神髄』によれば、その神髄は「人間の高次心理機能は言葉によって媒介されている」という命題にあるという。ここで高次心理機能とは人間にのみ固有の機能のことを指しており、一般的には随意的注意、記憶、意志、思考を指す。そして言語を媒介とした思考=言語的思考が高次心理機能の中核であると考えられている。また、ヴィゴーツキーは高次心理機能の研究を通じて人格全体の発達を考えていたし、欠陥学(発達障害に関する学問)にも関心をもち、今でいう発達障害児(者)の固有の発達について考えていた。p.117「人間にのみある固有の機能」

  これが一番ぐっと来た所。でも、ゴリラかオランウータンも簡単な手話をしたりできるから、今では「人間のみに固有」というのは違うんじゃないか。オランウータンにも言語によって媒介された高次心理機能があるのかも、、、しれない。

 

 

 

ヴィゴツキー 教育心理学講義

ヴィゴツキー 教育心理学講義

 

 

 

思考と行動における言語

思考と行動における言語