The long waiting

If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.

公務員採用試験を受けた

転職活動が終わった。自分の気持ちの整理をつけるためにここで少しまとめたいと思う。

 

ぼくは、ある時から人が居場所を感じられる場所をつくりたいという気持ちを大切にして生きてきたと思う。学生時代は、それを目的としたサークルを作り、社会人になってからもそういった業務に特に力を入れてきた。そして、仕事とは関係のない場所で、人がそこにいてもいい感覚、言い換えると帰属感を感じられるように支援できる仕事に関心を持つに至った。

 

そういった背景もあって、社会人ながら大学の心理学科で学ぶことになった。ただし、その気持ちも本当ではあるものの、大学入学の主たる要因は、今この場所からどこかに行きたい、という気持ちだった。というのも、転職先として目をつけていたところは、心理学科卒が必要条件だったのだ。改めて大学に入り直すくらい必死だった。

 

ぼくは職場が嫌いだった。いつもいつも証拠づくりの仕事を量産する制度とそこで働く同僚を憎んでいた。これまでそうだったからを、なぜ変化を避ける理由として真顔で語れるんだ?もっと実質的なことができればいいのに。そして、勉強しながら上述の自分の気持ちに気が付いた。つまり、最初はかなり消極的な要因から職場探しを始め、人の心の居場所づくり、という積極的なテーマに興味があると気が付いたのは、実はつい最近のことだった。

 

こういった気持ちに気が付けたのは、カウンセリング(精神分析心理療法)を受け続けたことの成果だと思う。そして、その過程で、実は居場所にこだわっているのは、自分が帰属感を抱けないことの裏返しでもあるのだという考えに至った。以下のブログを書いているときには気が付けなかった。

 

念のために書いておくと、このブログで書いたことは民間に勤める友人から又聞きで聞いたことであって、私とは何ら関係がない出来事である。転職しようという気持ちになる前に直面していたらちびって受けられなかったと思う。僕は福祉系の業務をしたことがない。だからこそ、受けてみたいと思えたのかもしれない。

 

upn.hatenablog.com

 

結論から言うと、特別区の心理職採用試験に落ちてしまった。筆記試験には受かったのであるが、3人に2人が合格する面接でダメだった。心当たりはある。高齢で、実務経験もなく、通信制大学の学部卒の社会人学生は面接で嫌われるのだろう。だって、若くて実務経験のある臨床心理士がいたら、そちらを採用したいだろう。

 

予備校の講師には、模擬面接で特に問題はないし、嫌われるとしたら実際のやり取り以外での客観的な要素によるということだった。ただし、この講師は心理職の模擬面接はあまり担当したことがなかった。問題がないというのは、事務系だったらということだ。それでも、安価でサービスを提供してくれて十分心の支えになった。本当にありがとう。真剣に対応してくれて感謝している。

 

今の気持ちを整理すると、勉強し始めて1年で筆記を通っただけでも十分だという感慨はある。でも、やっぱり落ちたのは残念だ。そして悲しいな、と思った。さらに、悲しさを感じた後に、悔しさが勝ってきた。

 

実は一次試験直後は、まあ受からんだろう、あきらめようという気持ちが強かった。結局、もやもやする時間が長く面接試験の対応はなかなか手に付かなかったが、自分は本当に受かりたいのだと思ったのは二次試験合格発表の直前だった。このように、自分の気持ちに気が付けなかった理由には心当たりがある。

 

本当に望んでいるものと直面した末に、それが手に入らないことが怖かったのだ。

 

そして、不合格の発表を受けてもう一つ気が付いたことがある。僕が本当に興味があることは、帰属感に並んだもう一つの要素、あるいは人の帰属感を支えるより根本的な出来事である、家族での体験に興味があったのだ。

 

ところで、僕が好きな監督は細田守是枝裕和だ。両者とも、常に欠落や過剰を抱える家族、つまりこうあるべきといった家族像から外れた"自明でない"家族を描いてきた。児童相談所を志望する旨、面接で伝えたが、僕はいろんな家族の物語と向き合い、自分がつらい思いをしたような家族をこれ以上見だしたくなかったのだと思う。そして、その気持ちが本当でも、同時にそういった行為を通じて、自分の抱える問題から目をそらしたかったのではないか。

 

残念だけど、気が付くのがあまりにも遅かった。これからどうしよう。これから、というのは来年もうけるのを前提に大学生を続けるのか、もうやめて時間をもっと楽しみあふれることに割くのかということである。

 

ただ、ひとつだけ、本当にありがたいことがある。

 

それは、明日からも、あれだけ嫌いだったのに、僕を待ってくれる職場があるということだ。本当にありがたい。そういうわけで、明日からも生きていきたいと思う。