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The long waiting

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『心理学の名著30』,02ルリヤ『偉大な記憶力の物語』(一九六八)―記憶力が良ければ幸せか

読書メモ『心理学の名著30』

 まだブログを始めたばっかりで、機能的なところがまったくわかってない笑 ちょっとずつでも慣れていけると嬉しい。次に扱うのは一九六八年原著刊行の『偉大な記憶力の物語』。『名著30』は各章ごとに紹介する本を発行年代順に並べてるので一気に飛んだことになる。

 本書の紹介はジェームズの紹介*1よりずっと読みやすい。素人でも聞いたことがある言葉も出てくるし、伝記っぽい研究だからだ。記憶の学説は結構直感的にも納得しやすい!

 

 

1.記憶の学説

 ①忘れること:長期記憶と短期記憶

 そして復習することで、短期記憶から長期記憶と呼ばれる記憶になり記憶が定着するとされている。つまり、古典的な理論では、記憶を長期記憶と短期記憶に分類する。p.24「記憶の分類」

 この人の研究は忘却曲線として今でも知られてるらしい。さらに短期記憶では人の記憶はせいぜい「5~9」までしか一度に覚えられないという研究もある。

  ②思い出すこと:再生と再任

   アメリカの初代大統領は誰?と尋ねられて「ワシントン」と答えるのは「再生」で、アメリカの初代大統領はワシントンですか?と尋ねられて「はい」と答えるのは「再認」。当然ながら、再認のほうが簡単。p.25「記憶の分類」

 ③語り方:命題記憶と意味記憶

 エストニアの心理学者タルヴィングは「命題記憶」と「手続的記憶」の二つに分け、さらに「命題記憶」を「意味記憶」と「エピソード記憶」の二つに分けた。命題記憶は「*は~だ」、という記憶。手続的記憶は、何かのやり方についての記憶である。p.25「記憶の分類」

 ④他に扱った記憶

  ワーキングメモリのモデル、展望的記憶などなど

 

2.輪切りをつなげて見えるもの

 ①実験研究の限界

 実験ができるから理論の価値がある、実験で確かめられなければ理論の価値はない、というのが心理学のスタンスである。しかし、実験研究には限界がある。記憶力の優れた人が人生をどのように生きるのか、などということは実験しようがないからである。そもそも、心理学の研究は、感覚、知覚、判断、思考、記憶、のようなプロセスを輪切りにして研究するため、(それが利点だと思っている人も多いが)人間の全体像に近づけないという欠点がある。p.26「特殊な記憶の持ち主」

 「プロセスを輪切りにして研究」っていうのはジェームズが心理学の対象とした「機能」と「意識の流れ」に対応している気がする*2そこで本書が採用してる「輪切り」の限界を超えるためのアプローチが「一九二〇年代に極めて秀太でた記憶力を持ったある一人の人物」の人生を対象としてその人生を記述するというものだった。このシィーという人物はメモを執とらない記憶が特別なものであると思っていないくらい抜群に記憶力がよかった。数十桁の数字の暗記を十数年の感覚を開けた場合でも思い出せる人だった。

  ②直観像と共感覚

 ではなぜ、シィーはこのようなことが可能だったのか。それは直観像と共感覚という特異な能力のおかげである。

 直観像とは、いわば、目がカメラのように作動し、画像を保存できることを指す。例えば、あるビルを見てそれが何階建てであるかはすぐには分からないが、直観像を持つ人は、自分が蓄えた直観像を思い出し、ゆっくり数えることができるのである。

 共感覚とは、一つの感覚刺激から、複数の近くが引き起こされる現象のことである。既に述べたように、心理学では人間の認知プロセスを「感覚、知覚、判断、思考、記憶」という形で分割して考え、それぞれのプロセスについてわけて考えるので、共感覚の研究は難しい。また、多くの人が持っている性質でないと研究することが難しいという事情もあり、シィーのような人が持つ特殊な力についてはなかなか検討できないのである。pp.27-28「特殊な記憶の持ち主」

  直観像は聞いたことある。フィクションの特にミステリ系の作品では謎解きの要になったりしていた。これは一般人のぼくたちでも、「要するに、頭のなかに今まで覚えたた静止画データをまるごと入れてるフォルダがあって、いつでも参照できる感じ」といったところ(たぶん)。

 共感覚はどうだろう。比喩だったり詩的な表現ですごく混乱するようだ。例えば「大人の階段登る」なんて言葉を聞くと成長+実際に階段を登ってるイメージが頭に浮かんで混乱する感覚で理解した。カラオケのPVみたいなものだろうか。

 

偉大な記憶力の物語――ある記憶術者の精神生活 (岩波現代文庫)

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心理学の名著30 (ちくま新書)

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